専門・認定・診療看護師について
新東京病院では、専門看護師、認定看護師、診療看護師の資格を持った看護師が活動しています。
また診療看護部門では、特定行為研修修了者(大学院修了)が活動しています。
認定看護師とは
特定の看護分野において、熟練の看護技術と知識を用いた高水準の看護実践を通して看護ケアの質の向上をはかる、いわば看護師のスペシャリストです。
認定看護師となる為には、6ヶ月間の認定教育課程を修了し、厳しい認定審査に合格しなければなりません。
認定看護師の声
皮膚・排泄ケア認定看護師 Y.I.さん
皮膚・排泄ケア認定看護師としての道のり
新東京病院で勤務する中で、消化器外科の患者さんが多い病棟で人工肛門(ストーマ)を持つ方のケアに関わることが増えていきました。排泄ケアが適切でないと患者さんの生活に深刻な支障が出てしまいます。装具の選択や装着の仕方一つで、排泄物が漏れたり、肌に刺激を与えたりと、患者さんが快適に過ごすことができなくなってしまいます。ですが、当時の私にはまだ十分な知識や技術がなく、先輩方に聞いても具体的な答えが得られないことがありました。結果的に漏れた状態で退院を迎えざるを得なかったケースもあり、その時の「何とかしたい」「ちゃんとケアして、安心して帰ってもらいたい」という思いが、認定看護師資格を取得しようと決心するきっかけとなりました。
2013年に皮膚・排泄ケア認定看護師資格を取得し、以降は排泄ケアの専門分野を持って働くことができるようになりました。今では、病棟の看護師と連携しながら患者さんに合った装具を選んで漏れを防ぎ、安心して退院してもらえるようになりました。患者さんが安心して生活を送れるためのケアができることは、私にとって大きなやりがいとなっています。
特定看護師を目指す理由
次のステップとして、私は特定行為研修を受けて特定看護師になることを目指しています。現在、褥瘡管理のリーダーとして、傷の専門ケアを行っていますが、医師がいなければできないデブリードマン(創傷の外科的な処置)などの行為に課題を感じることがあります。例えば、褥瘡がひどくなる前に処置を行いたくても、医師のスケジュールによってはタイムリーに対応できないことがあるため、患者さんの状態に合わせた柔軟な対応が難しくなることがあるのです。毎週患者さんの状態を見ている私が、その場で適切な処置を行えれば、より良いケアが提供できるのではないかと考えています。そのために特定行為研修を受け、特定看護師資格を取得しようと決めました。

後輩たちへの想いとサポート
看護師のキャリアアップを目指す後輩へのサポートについて、私は無理に資格取得を勧めるのではなく、興味が湧いた時に挑戦してほしいと考えています。ストーマケアに興味を持っている後輩も増えていますが、患者さんへの接し方や仕事に対する姿勢などを見ながら、慎重にサポートをしています。自分からやる気を持って取り組むことで、資格取得に向けた勉強や実践が長続きすると実感しているからです。そのため、必要に応じてそっと背中を押すくらいが、後輩たちにとっても良いのではないかと感じています。

私が目指す看護師の姿
2年半前に子どもを授かり、今は時短勤務を活用しながら家庭と仕事の両立を目指しています。それ以前は夜遅くまで仕事をしていた時期もありましたが、現在は仕事の時間を調整しつつ、子どもとの時間も大切にしています。仕事への情熱と育児のバランスを取ることが大きな課題ですが、時短勤務を許可してくれている職場に感謝しつつ、自分の仕事にも誇りを持っています。できることが限られているため、不完全燃焼に感じることもありますが、子どもとの時間を優先しつつも、仕事への愛情を失わずにいられることが今の私の支えになっています。
私は看護が本当に好きで、「患者さんに最も近い存在でいたい」と思っています。診療看護師として医師に近い立場で働く道もありますが、私の目指す姿は、処置よりもケアを大切にする看護師です。患者さんの生活に寄り添い、安心して日々を過ごしてもらえるようにサポートすることにやりがいを感じています。

脳卒中リハビリテーション看護認定看護師 H.H.さん
脳卒中リハビリテーション看護への転向
看護師としてのキャリアを積む中で、最初は外科での勤務をしていましたが、その後、脳外科病棟に配属されたことで私の看護に対する思いが変わりました。がん患者さんを多く担当する中、脳卒中患者さんも担当するようになり、違うやりがいを感じるようになったのです。がんの看護は「患者さんの残りの生活をどう支えていくか」が主な課題になりますが、脳卒中患者さんにはリハビリを通じて回復が見込めるケースが多く、患者さんの状態が回復していく様子を目にすると、私たち看護師のケアによって前向きな変化が生まれていると実感することができました。「もっとこの領域で勉強し、より効果的なケアを提供できる看護師になりたい」と思い、脳卒中リハビリテーション看護の認定看護師資格を目指すことにしました。
私が資格を取得したのは45歳の時で、7か月間の研修に通い、試験のために様々なケースをまとめるなど、上司や同僚のサポートを受けながら勉強しました。病院としても私の挑戦を応援してくれて、試験の準備をする際は看護部長をはじめとする多くのスタッフが協力してくれました。そうして資格を取得できた時、周囲のサポートへの感謝とともに、自分の成長も実感しました。
認定看護師としての活動とやりがい
認定看護師として資格を取得してからは、病院内で脳卒中患者の支援や院内教育の強化に取り組んでいます。特に、脳卒中の患者さんにはリハビリを通じて自立した生活を取り戻していただきたいという思いが強く、退院後の支援や再発防止が課題とされています。脳卒中は再発率が高いため、退院支援をしっかり行い、患者さんやご家族に予防策やリハビリの重要性を伝えていくことが必要です。リハビリテーションを通じて、動けなかった方が少しずつ体を動かせるようになり、やがて歩けるようになる姿を見ると、看護師としての喜びを深く感じます。
また、脳卒中の看護に対する「楽しさ」を周囲にも伝えていきたいと感じています。リハビリには大変な面もありますが、患者さんが少しずつ回復し、生活の質が向上する姿は、看護師としてのやりがいを感じられる瞬間です。多くの看護師にこの喜びを知ってもらい、リハビリテーションに興味を持つ後輩が増えてくれたらと思っています。

循環器との連携と学びの面白さ
新東京病院は循環器の治療で知られる病院ですが、脳卒中のケアも循環器との連携が欠かせない領域です。血圧の管理や心臓の状態は、脳卒中患者さんのリハビリにも大きな影響を及ぼします。循環器と脳卒中ではアプローチの考え方が異なることも多く、双方の視点から学ぶことで、心臓と脳についての理解を深めることができるのは面白いと感じています。循環器と脳卒中、両方の領域を学び続けることで、より幅広い知識を患者さんのケアに活かせるよう努めています。
職場での教育体制と若手看護師への期待
近年、病院全体で看護教育に力を入れており、新人や中堅の看護師が自分のキャリアやスキルアップに向けて積極的に取り組む姿を多く見かけます。特に20代後半から30代の看護師が多く、彼らが看護師としての知識やスキルを高めたいと感じていることに嬉しく感じています。彼らに対しては、「自ら発信し、学ぶ姿勢を持ち続けてほしい」という思いがあります。一緒に働く仲間として、意見を言い合える環境づくりを大切にし、看護に対する向上心を持つ若手看護師と共に成長していきたいと思っています。

認定看護師になる前と後での変化
認定看護師の資格を取得する前は、自分の仕事や専門分野について深く考える機会が少なかったように思います。しかし、認定のための勉強を通じて、より広い視野を持つことができ、病院全体の中で自分がどのように貢献できるかを考えるようになりました。資格を取ったことで、脳卒中に関する知識やスキルが深まり、今では患者さんや同僚に対して自信を持ってアドバイスができるようになっています。
今後の目標と求める人物像
今後の目標としては、脳卒中の患者さんや家族が気軽に相談できる窓口の整備や、院内での脳卒中教育の強化を進めていきたいと思っています。また、退院支援を充実させることで、再発予防に繋がる支援体制を築きたいと考えています。私の理想の職場は、意見を言い合える風通しの良い環境です。看護師同士がコミュニケーションを取り、助け合える環境であれば、働きやすく、患者さんへのケアも向上していくと感じています。自分の意見をしっかり発信し、チームで成長していける仲間とともに、これからも患者さんのために尽力していきたいと思っています。
私はこれからも脳卒中リハビリテーション看護のスペシャリストとして、患者さんやそのご家族に寄り添い、少しでも豊かな生活を取り戻せるようサポートしていきます。そして、後輩たちと一緒に学び、成長していける職場を築き上げていきたいと考えています。

診療看護部
